【世界遺産 園比屋武御嶽石門】琉球王国の祈りを今に伝える美しい石造建築

沖縄の首里城跡には、琉球王国の歴史や文化、そして人々の信仰を今に伝える数々の史跡が残されています。

その中でも「園比屋武御嶽石門（そのひゃんうたきいしもん）」は、国王の旅の安全を祈る場として設けられた、特別な意味を持つ礼拝所です。

単なる石造建築としてではなく、神聖な場として王族たちが大切にしてきたこの石門は、琉球の精神文化を象徴する存在といえるでしょう。

1519年、尚真王の命によって建てられたこの門は、建築技術の粋を集めて造られたもので、宗教的役割と美術的価値の両面を兼ね備えています。

戦争による被害や時間の経過を経ても、修復と保存の努力により今日まで守られてきました。

本記事では、園比屋武御嶽石門の成り立ちや構造の魅力、文化財としての価値についてわかりやすく紹介します。

園比屋武御嶽石門とは

沖縄県那覇市の首里城公園内の守礼門と歓会門の間に位置する園比屋武御嶽石門は、琉球王国時代の宗教的・文化的背景を今に伝える貴重な石造建築です。

園比屋武御嶽石門は、1519年に尚真王の命により、当時の八重山竹富島出身の西塘によって築かれました。

かつての琉球国王が城外へ出る際、旅の安全を祈願するために参拝した礼拝所です。

園比屋武御嶽石門の特徴

園比屋武御嶽石門は、平唐門（ひらからもん）といわれる様式で建てられており、主に琉球石灰岩と細粒砂岩で構成されています。

アーチのない長方形の構造が特徴で、軒は石造りであるながら木造の板葺き屋根を模しており、石で表現された垂木も見事です。

屋根の装飾には火焔宝珠や鴟尾など、中国風のデザインも取り入れられています。

さらに、門の床の中央がわずかに盛り上がり、両側の石牆が真ん中に向かってすぼまっており、視覚的な錯覚を補うための工夫が施されています。

戦争と復元の歴史

1945年の沖縄戦で大破したものの、1956年に琉球政府によりトラバーチン石材を使って復元されました。

しかし、その後の経年劣化によって亀裂が生じたため、1982年から5年をかけて修復工事が実施されました。

この修復では可能な限り古材を活かし、建設当時の石材と技法が用いられています。

文化財としての価値

園比屋武御嶽石門は、1933年に国宝に指定されましたが、戦争により一部が破壊されました。

1957年に復元され、現在は国の重要文化財として登録されています。

また、2000年2月には、琉球王国のグスク及び関連遺産群の一部としてユネスコの世界遺産にも登録されました。

琉球石造建築の代表的な建築物として、また王国文化と信仰の象徴として、園比屋武御嶽石門は今もなお多くの人々に親しまれています。

園比屋武御嶽石門の基本情報

住所	〒903-0816 沖縄県那覇市首里真和志1-7付近 首里城公園内
電話番号	0988862020
営業時間	24時間
定休日	なし
入場料	無料
アクセス	首里城公園入り口バス停から徒歩約5分 首里城前バス停から徒歩約1分 山川バス停から徒歩約15分ゆいレール首里駅から徒歩約10分
駐車場	有料駐車場あり
Googleマップ	https://maps.app.goo.gl/q5sAXB4icvnZeZn67
公式サイト	https://oki-park.jp/shurijo/shuri-aruki/siseki/2014/01/post-2.html

世界遺産 園比屋武御嶽石門まとめ

園比屋武御嶽石門は、琉球王国の王が旅立ちの際に安全を祈願した神聖な場であり、単なる建造物ではなく精神的な拠り所でもありました。

独特な石造構造や、中国文化の影響を感じさせる装飾、視覚的錯覚を利用した設計など、その建築には多くの工夫と美意識が込められています。

現在は国の重要文化財、そして世界遺産として守られており、沖縄の文化や歴史を感じる上でとても大切な場所です。

首里城を訪れた際には、ぜひこの園比屋武御嶽石門にも足を運び、琉球の人々が大切にしてきた祈りの空間を、そっと感じ取ってみてください。