沖縄のサンゴ礁の魅力と現状!白化と減少問題の原因と守るためにやるべきこと

沖縄のサンゴ礁の魅力と現状!白化と減少問題の原因と守るためにやるべきこと

沖縄県といえば、美しい海と色とりどりのサンゴ礁を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

南国特有の温暖な気候と透明度の高い海に囲まれた沖縄の海には、世界的にも貴重なサンゴ礁が広がっています。 

このサンゴ礁は、ただ美しいだけではありません。多くの海の生物たちのすみかとなり、観光や漁業といった私たちの暮らしにも密接に関係しています。

しかし近年、環境の変化などにより、沖縄のサンゴ礁は深刻なダメージを受けているのが現状です。 

この記事では、サンゴの特徴や沖縄に多くのサンゴ礁が見られる理由、サンゴ礁の役割、そして美しいサンゴを守るための取り組みについて紹介します。

サンゴとは

実際の沖縄のサンゴ礁

サンゴは、見た目から「植物」や「岩」などと思われがちですが、実はクラゲやイソギンチャクと同じ「動物」の仲間です。

小さなポロプと呼ばれる個体が群体を作り、長い年月をかけて成長します。

サンゴは「刺胞動物」に分類され、ポリプといわれる触手、刺胞といわれる小さな毒針があります。

また、体内には「褐虫藻」という植物プランクトンが共生しています。褐虫藻が光合成をすることによってエネルギーを生み出し、サンゴに栄養を与えています。

サンゴには硬い骨格を持つ「ハードコーラル」と、柔らかい体をした「ソフトコーラル」があります。色や形もさまざまで、枝状のもの、塊のような形、キノコ状のものなど多種多様です。

沖縄にサンゴ礁が多いのはなぜ?

上空から見た沖縄の海

沖縄県には、およそ380種類以上がサンゴが生息しており、日本国内で約400種見られるサンゴの約80%にも及びます。

これほど豊かなサンゴ礁が沖縄の海に広がっているのには、自然条件が関係しています。

サンゴの生息に適した水温と日射量

サンゴには、水温が約25〜28度前後の暖かい海が適しています。沖縄は年間を通して気温が高く、海水温も安定しており、サンゴの成長に理想的な環境が整っています。

さらに、日照時間も長く、共生する褐虫藻の光合成に必要な日光が豊富に届くため、サンゴ礁が形成されやすい条件が揃っています。

透明度の高い海と複雑な海岸線

沖縄の海は、雨量が少ないことや大きな河川が少ないことから、海水の透明度が非常に高いことで知られています。

これはサンゴにとって欠かせない環境要素で日光が海中の深くまで届き光を確保するのに最適です。

黒潮の影響と豊かな栄養分

沖縄周辺には、南から流れてくる「黒潮」と呼ばれる暖かい海流が流れています。この黒潮は海水温を保つだけでなく、サンゴの生育に必要な栄養分を運んできます。

また、プランクトンが豊富に発生しており、海の生物全体が活発に活動できる環境となっています。

沖縄の海が綺麗な理由はこちら

沖縄ならではの地形と環境

沖縄本島や周辺の島々には、入江や湾など複雑な地形が広がっており、浅瀬が多いこともサンゴの生息に適した条件となっています。

沖縄のサンゴ礁は「裾礁(きょしょう)」と呼ばれる、島の周囲に帯のように広がる形が主流です。

沖縄に生息するサンゴの種類

沖縄に生息するサンゴ写真

沖縄にあるサンゴ礁は非常に種類が多く、生息する水深や海流、波の強さなどによって棲み分けられています。

沖縄では、以下のような種類が知られています。

  • ウミキノコ
    柔らかく触感が独特なサンゴで、キノコのような形が特徴です。
  • ウスエダミドリイシ
    円形の群体で礁斜面でよく見られるサンゴ。紫色、緑褐色など様々な色があります。
  • アザミサンゴ
    中部から西部太平洋にかけて広く分布し、夜になると長い触手を伸ばす特徴があります。
  • ヘラジカハナヤサイサンゴ
    インド・太平洋全域に広がっており、枝状の複雑な形をしています。
  • ヤエヤマカワラサンゴ
    沖縄南部に分布し、板のように広がる群体が1メートル以上に育つこともあります。

サンゴ礁が果たす4つの役割

透き通った沖縄の海

サンゴ礁は、海の中で数多くの生きものが暮らすだけでなく、人間の生活や地球環境にも広く影響を与えています。美しい見た目の景観だけでなく、様々な役割を果たしているのです。

海の生態系を支える役割

サンゴ礁は海の生き物たちにとってゆりかごのような存在です。枝の隙間や岩陰は魚やエビ、カニなど小さな生き物が外敵から身を守る安全な避難場所になります。
またサンゴと共生する褐虫藻は光合成で養分を生み出し、それがサンゴ自身だけでなく周囲の微生物にも行き渡ります。こうしたエネルギーの循環が礁全体の生態系を支えています。

およそ九万種もの生物がサンゴ礁に集まり、小型魚を狙う中型魚、その中型魚を狙う大型魚へと食物連鎖が連なり、豊かな海の営みが形づくられているのです。

島を守る防波堤としての機能

沿岸を取り囲むサンゴ礁は、台風や高波が島に押し寄せる力を受け止めて分散させる天然の防波堤となります。波のエネルギーが弱まることで海岸の浸食や浸水被害が抑えられ、島の暮らしと自然を守ります。

島しょ部が多い沖縄では、とりわけこの効果が大きな意味を持っています。島しょ部とは本島から離れた大小の離島とその周辺海域をまとめて指す言葉で、陸地が低く平坦な場所が多いのが特徴です。そのため、サンゴ礁は海岸線を守る欠かせない盾として、島しょ部の安全と生態系を静かに支え続けています。

地球環境への貢献

サンゴ礁は気候変動の原因とされる二酸化炭素を吸収し、骨格を作る過程で海中の炭素を石灰として固定します。大洋に眠る巨大な炭素の貯金箱ともいえる存在が、大気中の二酸化炭素濃度を抑える手助けをしています。

観光・漁業資源としての価値

沖縄ではサンゴ礁を舞台にしたダイビングやシュノーケリングが人気で、国内外から多くの旅行者が集まります。透き通る海と色鮮やかなサンゴの景観は観光の大きな呼び水です。
さらにサンゴ礁の周辺は魚が豊富に集まるため、地元の漁業にとって重要な漁場となっています。観光収入と水産資源の両面で地域経済を支え、島しょ部の暮らしと文化に欠かせない宝となっています。

沖縄サンゴ礁の課題・問題点とは?

間近から撮ったサンゴ礁の写真

沖縄のサンゴ礁が減少している

沖縄のサンゴ礁は美しい海の象徴であり、豊かな生態系を育む大切な存在です。しかし、近年ではその環境にさまざまな問題が起きており、自然のままでは維持が難しくなってきています。

ここでは、沖縄のサンゴ礁が抱える主な課題や問題点について、わかりやすくご紹介します。

白化現象の増加

海水温の上昇によってサンゴが「白化」し、本来の色を失ってしまう現象です。これは、サンゴの体内に共生している藻類(褐虫藻)がストレスで抜け出してしまうことが原因です。
2024年には沖縄本島西海岸の一部で、サンゴの白化率が90%以上にも達したという報告もあり、年々深刻さが増しています。

赤土や生活排水による水質悪化

大雨のあとの赤土流出や、観光開発による生活排水が海に流れ込むことで、サンゴにとって適した水質が損なわれています。特に赤土は海の透明度を下げ、サンゴが光合成しにくくなる原因になります。

観光による直接的なダメージ

観光客がサンゴの上を歩いたり、船のアンカーがサンゴを破壊したりと、人の手によるダメージも無視できません。環境に配慮したマナーやルールの普及が課題となっています。

オニヒトデなどの食害

オニヒトデという大型のヒトデがサンゴを食べてしまうことで、一帯のサンゴが壊滅的な被害を受けることがあります。大量発生する年もあり、各地で駆除活動が行われています。

このような複数の要因が重なり、沖縄のサンゴ礁は今まさに危機に瀕しています。近年の調査では、沖縄県内の各地でサンゴの被度(サンゴが海底を覆っている割合)が大きく減少していることが明らかになっています。とくに石垣島や西表島周辺の「石西礁湖(せきせいしょうこ)」では、2024年の調査で白化率が80%を超え、一部ではすでにサンゴの死滅が確認されています。さらに本島周辺でも、かつて色とりどりのサンゴが広がっていた海域で、白化や藻類の繁茂によって生態系が変化しつつあります。

サンゴ礁の減少は、ただ景観が損なわれるだけでなく、そこに暮らす多くの海の生き物や、漁業・観光業といった人々の暮らしにも深く関わってくる問題です。

参考データ
サンゴ礁生態系保全行動計画 2022-2030(概要版)

白化と減少問題の解決に向けて、私たちができる5つのこと

温暖化や赤土流出などの問題は大きく見えても、私たちの小さな選択がサンゴ礁の未来を左右します。ここでは旅行者と地元の人のどちらでもすぐ始められる五つのアクションを紹介します。

  • 赤土を海へ流さないために畑や工事現場の土壌流出防止ネット設置や植生の維持に協力する
  • ダイビングやシュノーケリングではサンゴに触れない 船のいかりは砂地に下ろすなどリーフフレンドリーなマナーを守る
  • 紫外線吸収剤不使用のリーフセーフ日焼け止めを選び海中への化学物質流出を減らす
  • ビーチクリーンやサンゴ植え付け体験など地域の保全活動に参加し保護の輪を広げる
  • 省エネや公共交通の利用で温室効果ガスの排出を抑え海水温の上昇を食い止める

行動は小さくても数が集まれば大きな力になります 美しい沖縄のサンゴ礁を次世代へ受け渡すために今日から一歩を踏み出しましょう。

まとめ

現在の沖縄のサンゴ礁

沖縄のサンゴ礁は、世界に誇る美しい自然の宝物です。海の生き物たちの大切な住処であり、私たち人間の暮らしにも、たくさんの恵みをもたらしてくれています。

サンゴ礁は、海の生態系を支えるだけでなく、自然の防波堤となって私たちを災害から守り、地球温暖化の抑制にも役立っています。観光や漁業など、沖縄の地域経済を支える存在でもあります。

しかし今、沖縄のサンゴ礁はオニヒトデの大量発生や白化現象、赤土流出など、さまざまな危機にさらされています。年々減少するサンゴを前に、私たちができることは決して他人事ではありません。

一度失われたサンゴ礁は、元の姿を取り戻すまでに長い年月が必要です。だからこそ、美しい沖縄の海を未来へ残すために、今この瞬間から小さな一歩を積み重ねていきましょう!

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この記事を書いた人

よーすけ
よーすけ / 沖縄ナビ®編集部
「地元の人にこそ読んでほしい」「観光じゃない沖縄の魅力も届けたい」——そんな想いを胸に、日々、沖縄のあちこちを歩きながら、気になる場所や人、季節の話題を探しています。
ちょっとした街角の風景、地元の人だけが知っている名店、昔ながらの行事や新しい取り組みなど、沖縄で暮らす一人ひとりの視点を大切にしながら、読者の役に立つコンテンツづくりを目指しています!

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