
沖縄に来たなら一度は触れておきたい「琉球王国」の歴史と文化。
かつてアジアとの交易によって独自の王国文化を築いた琉球は、今もなおその面影を多くの遺産に残しています。
2000年には「琉球王国の城および関連遺産群」がユネスコ世界遺産に登録され、沖縄各地に点在する9つの史跡がその価値を世界に知らしめました。
本記事では、そんな琉球王国に関連する世界遺産をまとめてご紹介していきます。
各スポットの歴史的背景や見どころ、アクセス方法などを分かりやすく解説し、観光でも学びでも役に立つ内容になっています。
琉球王国をより深く知りたい方や、世界遺産を巡る旅の計画中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ世界遺産に選ばれた?理由を解説
琉球王国の城及び関連遺産群が世界遺産に登録された一番の理由は、遺産群が琉球王朝独自の文化を示しているからです。
琉球王国は14〜19世紀にかけて多くの国と交易を行いそれぞれの文化を融合させてきました。
その中でも遺産群の石造は中国、東アジアの建築の影響を受けつつ、琉球独自の素材が用いられています。
また世界遺産の一つ識名園では日本の庭園と中国の要素が組み込まれ、琉球独特の空間構成となっていました。
このように宗教、建築、儀式、芸能など全ての分野で独特なスタイルが形成され他の日本とは大きく異なる文化をもっている為世界遺産に選ばれていると思われます。
世界遺産に選ばれた遺跡をまとめて紹介!
ここからは琉球王国の城および関連遺産群として選ばれた9つの建造物を歴史や見どころなどを交えて紹介していきます。
実際に足を運んで沖縄の文化に触れてみましょう!
今帰仁城跡

一つ目に紹介する沖縄の世界遺産は今帰仁城跡です。
今帰仁城跡は標高100メートルの古期石灰岩丘陸に築かれた三山鼎立時の北山王統の居城です。
築城は13世紀〜15世紀初期には現在の形に整備されていたとされています。
総長1500mにも及ぶ城壁は地形を巧みに利用しながら野面積みで塀風状に築かれ攻めにくさに磨きがかかっていました。
また城内には神聖な御嶽や城門跡、拝所なども点在しており、宗教、政治の中心地としての役割も担っていたことがわかります。
毎年1月下旬から2月初旬にかけては城跡に植えられた寒緋桜が咲き誇り、沖縄県で最も早い桜祭りの名所としても知られています。
歴史と自然が融合する毎年1月下旬から2月初旬の訪問は特におすすめです。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県国頭郡今帰仁村字今泊5101
- アクセス:那覇空港から車で約1時間40分(沖縄自動車道利用)
- 入場料:大人600円/小中高生450円(今帰仁村歴史文化センターとの共通券)
- 駐車場:あり(無料)
座喜味城跡

二つ目に紹介する沖縄の世界遺産は座喜味城跡です。
座喜味城跡は沖縄本島中部読谷村に位置し15世紀初頭に読谷の按司、護佐丸によって築かれたグスクだと言われています。
この城は琉球王国統一後の北山勢力の反乱に備え建てられたとされ、防御性と景観性の高さを兼ね備えた名城として知られています。
最大の特徴は沖縄でも屈指の美しいアーチ型の城門と、滑らかで精巧な石積み技術です。
また、城跡からは読谷の海岸線や東シナ海を一望でき、敵の侵入を見張る軍事的役割と、風水的な地形配置の意味もあったと考えられています。
周辺には世界遺産読谷村歴史民俗資料館もあり、城とあわせて訪れることでより理解が深まります。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県中頭郡読谷村字座喜味708−6
- アクセス:那覇空港から車で約1時間(国道58号経由)
- 入場料:無料
- 駐車場:あり(無料)
- 設備:トイレ・資料館併設
勝連城跡

三つ目に紹介する沖縄の世界遺産は勝連城跡です。
勝連城跡は沖縄本島中部のうるま市に位置し断崖の上に築かれたスケールの大きなグスクです。
琉球王国時代の有力な按司である阿麻和利が拠点とした城として知られています。
城の構造は特徴的で、四つの郭から成り、それぞれが階段状に積み上げられたように配置されています。
この構造は当時の防御や儀礼の機能を果たすとともに、グスク建築の発展段階を示す重要な資料となっています。
特に注目すべき点は13〜15世紀にかけてのグスクとしては非常に保存状態が良好であり、発掘調査により他国との交易を示す陶磁器も数多く出土しています。
これは勝連城跡が単なるお城ではなく国際交易の要所であったことを示す貴重な証拠でもあります。
現在は整備された遊歩道があり城の上まで登ると沖縄の海と空を一望でき、歴史と自然を同時に楽しめる人気観光スポットです。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県うるま市勝連南風原3908
- アクセス:那覇空港から車で約1時間(沖縄自動車道経由)
- 入場料:無料
- 駐車場:あり(無料)
- 設備:ふもとには「勝連城跡休憩所」と資料館あり
中城城跡

四つ目に紹介する沖縄の世界遺産は中城城跡です。
中城城跡は、沖縄本島中部の北中城村と中城村にまたがる丘陵地に築かれた、琉球王国を代表する名城の一つです。
15世紀中頃、読谷の座喜味城から移ってきた護佐丸によって大規模な改修が行われ、防御性の高い要塞として完成しました。
勝連城と似て中城城も6つの郭から成る美しい曲線の石垣で出来ており各郭が階段状に積み上げられており、それぞれが明確な区画で仕切られており軍事面でも機能面も高度に両立された構造といわれています。
また標高160mの高台で太平洋を一望でき軍事拠点としても優秀となっていました。
沖縄戦の戦火をほぼ受けず当時の石垣がほぼ原形のまま残っており2006年には日本100名城にも選ばれ多くの歴史、建築ファンが訪れます。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県中頭郡北中城村字大城503
- アクセス:那覇空港から車で約45分(沖縄自動車道利用)
- 入場料:大人400円/中高生300円/小学生200円
- 駐車場:あり(無料)
- 設備:休憩所、トイレ、自販機あり
首里城

五つ目に紹介する沖縄の世界遺産は首里城です。
首里城は、那覇市に位置しかつての琉球王国の王都首里の中心に建てられた王国の象徴的存在です。
14世紀末ごろに築かれ、以後450年にわたり琉球王国の政治、外交、文化の中枢として機能してきました。
建築様式には中国、日本、沖縄独自の文化が融合しており、正殿には赤瓦の屋根と龍の装飾が施された豪華なデザインで知られています。
首里城は王の居城であり中華帝国との関係性を象徴し神聖な儀式の場など多くの場面で重要な建物として大切にされて来ました。
残念ながら沖縄戦で一度焼失、戦後に再建するも2019年には火災で焼失し現在も再建工事を進行しています。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県那覇市首里金城町1-2
- アクセス:那覇空港から車で約30分、またはゆいレール「首里駅」から徒歩約15分
- 入場料(復興見学エリア):大人400円/中高生300円/小学生160円
- 駐車場:あり(有料)
- 設備:売店・トイレ・案内所・多言語対応
園比屋武御嶽石門

六つ目に紹介する沖縄の世界遺産は園比屋武御嶽石門です。
園比屋武御嶽石門は首里城近くの守礼門のすぐ近くに位置する御嶽の参道入口として造られた石造の門です。
1501年に第二尚氏王統の尚真王の時代に建設され、王が国の平和と繁栄を祈る為に訪れた特別な祈りの場です。
門はアーチ型で琉球石灰岩を使って築かれた沖縄の伝統的な技術と精神文化が凝縮されています。
門の奥には園比屋武御嶽と呼ばれる神聖な空間が広がり、高位の人も巡礼の際に訪れ祈りを捧げたと伝えられています。
この石門は、城=権力、御嶽=信仰空間を結ぶ存在として琉球王国の政治と宗教を理解するうえで欠かせない文化財です。
現在も世界遺産として首里城近辺を訪れる多くの観光客が足を止め、祈りの歴史を学ぶため親しまれています。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県那覇市首里真和志町1丁目
- アクセス:首里城公園から徒歩約3分/ゆいレール「首里駅」から徒歩約20分
- 入場料:無料(屋外見学自由)
- 備考:文化財保護のため触れたり登ったりしないよう注意
≫さらに園比屋武御嶽石門について知りたい方はここをクリック!!≪
玉陵

七つ目に紹介する沖縄の世界遺産は玉陵です。
玉陵は那覇市首里にある琉球王国の歴代国王とその家族が眠る壮大な陵墓です。
1501年に第二尚氏王統の尚真王が父・尚円王を改葬するために築かれました。
中央に王と王妃が葬られる中室、左側に遺体を安置する東室、右側には親族が葬られる西室の三つの部屋に分かれています。
この構造は当時の沖縄の葬送文化を今に伝える貴重な史跡でもあります。
墓前には広い石畳の広場があり儀式や参拝が行われており、正面には中国式の装飾がされた門や石牌が残り、中国文化の影響を大きく受けていたことがわかります。
玉陵の敷地は荘厳で静かな空気に包まれ、訪れる人々に王国の威厳と信仰心、そして死生観を感じさせる場所です。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県那覇市首里金城町1-3
- アクセス:ゆいレール「首里駅」から徒歩約15分/首里城公園から徒歩約3分
- 入場料:大人300円/中高生150円/小学生以下無料
- 設備:展示館(玉陵奉円館)併設、トイレ・休憩スペースあり
識名園

八つ目に紹介する世界遺産は識名園です。
識名園は、那覇市に琉球王家の別荘として18世紀後半に造られた回遊式庭園です。
この庭園は、琉球王国が休息をとる場であり、また中国からの冊封使など重要な賓客をもてなす来賓館としても利用されました。
識名園の特徴は、中央に大きな池、周辺に石橋や中国の東屋、木造の御殿があり沖縄、日本、中国の文化が融合し出来ています。
また御殿の建築には赤瓦と木造の伝統的な技法が使われており、王家の生活様式や格式を感じることができます。
識名園は単なる景観でなく、琉球の外交・建築・美意識を象徴とする文化空間として多くの方が訪れています。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県那覇市真地421-7
- アクセス:那覇バスターミナルからバスで約20分/車で約15分
- 入場料:大人400円/小中学生200円
- 開園時間:9:00〜17:30(最終入場17:00)
- 駐車場:あり(無料)
- 設備:売店・トイレあり
齋場御嶽

9つ目最後に紹介する沖縄の世界遺産は斎場御嶽です。
斎場御嶽は沖縄県本島南部の南城市にある琉球王国最高の聖地とされる御嶽です。
せーふぁは最高位、うたきは聖地・祈りの場を意味し国家的な祭祠や儀式が行われていた特別な場所です。
15世紀頃、琉球王国の創造神アマミキヨがこの地に聖地を築いたとされ、国家の安泰や繁栄を祈るための拝所が点在しています。
その中でも三庫理という岩の空間は特に神聖で自然の巨岩によって形成された神秘的な空間で訪れる人を圧倒します。
また特徴として、石門や祭祀跡のほか、森や岩、湧水など全てが神聖視され自然そのものが信仰の対象となっていることが色濃く表れています。
現在ではパワースポットとして注目を集めており、多くの人が訪れますがマナーを守らない観光客が聖地を汚していると問題となっています。
アクセス情報
- 所在地:沖縄県南城市知念久手堅455
- アクセス:那覇空港から車で約50分/那覇バスターミナルからバスで約1時間
- 入場料:大人300円/小中学生150円(知念岬公園駐車場から徒歩)
- 営業時間:9:00〜18:00(最終入場17:30)
- 休息日:年末年始、旧暦の「清明祭(シーミー)」期間など
- 設備:ビジターセンター、売店、トイレあり
1日〜2日で巡る!世界遺産巡りのプランを紹介
沖縄本島に全て点在する琉球王国の世界遺産は、それぞれに個性がありながら意外と効率的に回れる位置関係にあります。
ここでは、車・レンタカーで巡る世界遺産旅のモデルコースを1日・2日プランに分けてご紹介します。
【1日コース】
ここでは琉球王国の世界遺産を1日で巡るための流れを紹介します。
一日で行くにはかなり時間がきつく前提として早朝から車を運転できる状況と仮定しています。
時間がかつかつですが一日で回れるため時間がない方にお勧めです!
時間帯 | スポット | 所要目安 | メモ |
---|---|---|---|
7:00 | 那覇出発 | — | 朝早めが必須 |
8:30 | 今帰仁城跡(北部) | 約40分 | 雄大な石垣と海の絶景 |
10:30 | 中城城跡(中部) | 約30分 | 石積みが美しい要塞型 |
11:15 | 勝連城跡 | 約30分 | 天空の城から海を望む |
12:00 | 座喜味城跡 | 約20分 | 護佐丸ゆかりの美しい石門 |
13:00 | 昼食 (読谷 or 那覇) | 約45分 | 沖縄そばや定食で休憩 |
14:30 | 首里城 | 約45分 | 復興工事中、展示も見応えあり |
15:30 | 玉陵 | 約20分 | 王家の静寂な陵墓 |
16:00 | 園比屋武御嶽石門 | 約10分 | 首里城そばでセット見学 |
16:45 | 識名園 | 約30分 | 王家のもてなしと回遊庭園 |
18:00 | 斎場御嶽(南部) | 約30分 | 神聖な空気を感じて1日を締めくくり |
19:00 | 那覇市内に帰着 | — | お疲れさまでした! |
1日で全ての琉球王国の世界遺産を回るには1施設に平均30分の滞在となっており時間がかつかつです。
比較的時間がある方は次の2日間で巡るコースがおすすめです!
【2日モデルコース】
ここでは2日間で全ての琉球王国の世界遺産を巡るコースを紹介していきます。
2日間余裕がある方はぜひ以下のプランで巡ってみましょう!
Day1|北部・中部を中心にグスクを巡るルート
時間帯 | スポット | 所要時間 | メモ |
---|---|---|---|
8:00 | 那覇市内出発 | — | レンタカーで出発! |
9:30 | 今帰仁城跡(北部) | 約45分 | 北山王時代の広大な石垣と絶景 |
11:30 | 中城城跡 | 約45分 | 護佐丸の堅牢な名城 |
12:30 | 昼食(中城・うるま市周辺) | 約1時間 | 沖縄そばなど地元グルメ |
14:00 | 勝連城跡 | 約40分 | 天空のグスクで阿麻和利の伝説に触れる |
15:30 | 座喜味城跡(読谷村) | 約30分 | アーチ型の石門が美しい |
17:00 | 宿泊地へ(那覇 or 中部) | — | 早めにチェックイン&夕食 |
Day2|首里と南部の宗教・文化遺産をめぐる日
9:00 | 首里城 | 約1時間 | 王国の中心。復元工事も見どころ |
10:15 | 園比屋武御嶽石門 | 約10分 | 首里城の守りと祈りの場所 |
10:45 | 玉陵 | 約30分 | 歴代国王が眠る荘厳な陵墓 |
11:30 | 識名園 | 約45分 | 王家の別邸庭園。異文化融合の美 |
13:00 | 昼食(那覇市内・南城市へ移動中) | 約1時間 | カフェや南部のローカル食堂も◎ |
15:00 | 斎場御嶽(南城市) | 約45分 | 琉球最高の聖地。自然と信仰が融合 |
17:00 | 那覇市内帰着 | — | お土産や夜ご飯タイムに |
2日間のコースであれば比較的ゆったりと思う存分世界遺産を見ることができます。
また旅の途中に寄り道もでき気軽に楽しめると思うのでオススメです。
まとめ
琉球王国の歴史や文化を今に伝える世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」は当時の人々の暮らし・信仰・外交・芸術の集大成となる貴重な文化遺産です。
首里城や斎場御嶽のような有名スポットはもちろん、自然と一体化したグスクや王家の格式ある空間などそれぞれ異なる魅力があり、巡ることで琉球の奥深さを感じられます。
観光として訪れるもよし、学びとして深入りするもよしです。
ぜひあなたも、世界遺産を通して沖縄の歴史と文化をめぐる特別な旅に出かけてください。