【世界遺産 中城城跡】琉球王国の歴史と美しい石垣が残る絶景のグスク

沖縄本島中部、東海岸の高台にそびえる中城城跡(なかぐすくじょうあと)は、2000年に琉球王国のグスク及び関連遺産群の1つとして、ユネスコの世界遺産に登録されました。
標高160メートルの丘陵地に築かれたこの城は、中城湾や東シナ海を一望できる絶景スポットとしても知られ、多くの観光客で賑わっています。
中城城は、沖縄戦の戦禍を免れ、現在も当時の構造をほぼそのまま残す貴重なグスクのひとつです。
美しく曲線を描く石垣や、自然の地形を巧みに活かした設計、さらには高度な石積み技術など、琉球王国時代の建築文化が詰まった城郭として高い評価を受けています。
また、ここは歴史的にも重要な場所の1つです。護佐丸と阿麻和利という二人の按司による「護佐丸・阿麻和利の乱」の舞台になっており、忠義と謀略、そして悲劇の物語が刻まれた場所でもあります。
この記事では、中城城の歴史的背景や見どころについて詳しく紹介します。
中城城の歴史

中城城が築かれた時期ははっきりわかっていませんが、「先中城按司(さきのなかぐすくあじ)」という地元の有力者によって築かれたとされています。
1440年頃、護佐丸(ごさまる)が首里王府の命を受け、当時居城としていた読谷村の座喜味城から中城城へと移り住んだと伝えられています。
護佐丸はこの地に拠点を移すと、北の郭や三の郭の増築を手がけ、城をさらに大規模なものへと拡張していきました。
護佐丸・阿麻和利の乱
中城城にまつわる歴史の中でも、最もドラマチックで切ない物語が「護佐丸・阿麻和利の乱」です。
時は15世紀半ば、琉球王国・中山王尚泰久の治世。勝連城を拠点に勢力を広げ、やがて天下を狙うようになった野心家・阿麻和利は、首里王府と勝連の間に立ちはだかる中城城の護佐丸を邪魔に思うようになります。
そこで阿麻和利は「護佐丸が謀反を企てている」と王に讒言を行ったのです。阿麻和利の言葉を信じた王府は、中城城攻略を阿麻和利に命じてしまいます。
同年8月15日夜、阿麻和利は王府軍の旗を掲げて中城城を攻撃。護佐丸は王府に逆らうことを良しとせず、妻子とともに自害しました。なお、幼少の三男・盛親のみが乳母に託されて落ち延びたと伝えられています。
その後、阿麻和利の讒言が発覚し、阿麻和利も王府軍に討たれました。
この事件は「護佐丸・阿麻和利の乱」として知られ、現在は沖縄の伝統芸能である組踊の題材にもなっています。
中城城跡の魅力・見どころ

中城城の城壁は、自然の岩石や地形を巧みに活かして築かれており、美しい曲線と高度な石積み技術を間近で見ることができます。また、中城城跡からの壮大な絶景も魅力です。
中城城の築城技術
中城城は、当時の優れた築城技術を今に伝える貴重な遺構としても知られています。
中城城は連郭式と呼ばれる構造で、六つの郭が連なり合うように配置されています。南側は切り立った断崖、北側は急な斜面という、自然の地形を巧みに取り入れた設計が特徴です。
南の郭と西の郭では「布積み」、三の郭と北の郭では「あいかた積み」という技術が使われており、職人の技が光る造形美を楽しむことができます。
ペリー提督も賞賛
1853年に黒船を率いて日本を訪れたペリー提督は、沖縄に立ち寄った際に中城城を訪れて測量を行いました。
その際の記録『日本遠征記』には、「要塞の資材は石灰岩であり、その石造建築は賞賛すべき構造のものであった」と記されています。
外国人の目にも、中城城の石垣の美しさや構造の巧みさは際立っていたようです。
城壁から望む絶景
中城城跡は、標高約160mの高台にあります。
城壁に立てば、目の前に広がるのは雄大な景色。東にはキラキラと輝く中城湾と太平洋、西にはどこまでも続く東シナ海が広がっています。
さらに勝連半島や知念半島、晴れた日には洋上に浮かぶ離島まで見渡すことができ、まさに絶景を楽しめる景勝地です。
中城城跡の基本情報

住所 | 〒901-2402 沖縄県中頭郡中城村泊1258番地 |
電話番号 | 098-935-5719 |
営業時間 | 観覧受付時間 8:30~17:00 8:30~18:00(5~9月) |
定休日 | 無休 |
入場料 | 【個人】 大人 500円・中高生 300円・小学生 200円 【団体】 大人 400円・中高生 200円・小学生 100円 |
アクセス | ・那覇空港から車で約50分 ・バス : 中城小学校前バス停から徒歩約 50分 |
駐車場 | 無料 大型バス7台・乗用車約50台 |
Googleマップ | https://maps.app.goo.gl/jGfpdUzenzpf3QMP9 |
公式サイト | https://www.nakagusuku-jo.jp/ |
世界遺産 中城城跡まとめ
中城城跡は、琉球王国の歴史を語るうえで欠かせない存在であり、現代にその姿を色濃く残す数少ないグスクのひとつです。
自然の地形と調和した美しい城壁や、南北に連なる六つの郭からなる構造、そして布積み・相方積みといった異なる石積み技術の見事な融合は、当時の築城技術の高さを今に伝えています。
また、中城城跡から望む風景も大きな魅力の1つです。東に中城湾と太平洋、西には東シナ海と、沖縄ならではの雄大な自然が広がり、晴れた日には遠くの島々まで見渡すことができます。
歴史と自然を一度に堪能できる中城城跡は、訪れる人に深い感動と豊かな時間を与えてくれるでしょう。
歴史に触れたい人も、美しい景色を楽しみたい人も、沖縄を訪れる際はぜひ中城城跡を訪れてみてください。