【世界遺産 識名園】琉球王家の庭園で歴史と自然を感じる旅へ!

沖縄 世界遺産 識名園

沖縄本島・那覇市にある識名園(しきなえん)は、かつて琉球王家の別邸として使われていた、歴史ある美しい庭園です。

王族の別邸でありながら、中国からの使者「冊封使(さっぽうし)」をもてなすための場としても重要な役割を果たしていました。

現在は国の特別名勝に指定されているほか、世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして、国内外から多くの観光客が訪れています。

園内には見どころがたくさんあり、のんびり歩きながら琉球の歴史や文化に触れられるのが魅力です。

この記事では、そんな識名園の歴史的背景から見どころ、おすすめのフォトスポットまで、初めての方にもわかりやすくご紹介します。

識名園とは

世界遺産 識名園

識名園は、沖縄県那覇市にある歴史的な庭園で、かつて琉球王家が所有していた王家最大の別邸です。

現在は、国の特別名勝に指定されているほか、2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとしてユネスコの世界文化遺産にも登録されました。

琉球王国時代、識名園は国王一家の保養地であると同時に、中国からの使者をもてなすための重要な拠点となっていました。

琉球は東アジアと東南アジアを結ぶ要所にあり、貿易の中継地点として大きく発展していました。この時代、中国は圧倒的な影響力を持っており、独自の国際秩序である「冊封体制」を築いていました。

琉球が中国との貿易を行うためには、皇帝から正式に「琉球国王」としての承認を受ける必要がありました。新しい王が即位すると、中国から冊封使(さっぽうし)と呼ばれる使節が派遣され、王としての地位を認める詔書が授与されたのです。

識名園は1799年に造られ、翌年には中国皇帝からの使者である「冊封使(さっぽうし)」を迎えています。

こうした背景から、識名園は単なる庭園ではなく、国際的な役割も担った重要な施設といえるでしょう。

現在の識名園は戦後に復元されたものです。1975年から約20年かけて整備が進められ、かつての姿を忠実に再現しています。

識名園の歴史と自然を堪能できる見どころ6選

世界遺産 識名園

識名園は、琉球王家の美意識とおもてなしの心が詰まった場所です。

園内には、訪れる人を楽しませてくれる工夫が随所に見られます。ここでは特に注目したい7つの見どころを紹介します。

廻遊式庭園と「心字池」

まず注目したいのが、日本庭園の様式として知られる回遊式庭園です。庭園内を歩きながら、場所によって変化する景色を楽しめる造りになっています。

識名園では、庭園の中心に「心」の字を崩した形の池、心字池が広がっています。池の水面には空や建物が映り込み、季節や時間帯によって異なる表情を見せてくれるのが魅力です。

散策しながら景色の移り変わりを五感で感じることができ、特に朝や夕方は、柔らかな光と池の水面が美しく調和し、美しい景色が広がります。

中国風の東屋「六角堂」とアーチ橋

園内の池に浮かぶ小島には、「六角堂」と呼ばれる東屋があります。これは中国様式を取り入れた建築で、独特の屋根の形や装飾が目を引きます。

六角形の建物は、風通しが良く、どの方向からも景色を楽しめる構造になっています。

また、池に架けられた石造のアーチ橋も見逃せません。この橋も中国風の様式を取り入れており、琉球文化と中国文化の融合を象徴する存在となっています。

赤瓦の伝統建築「御殿」

識名園の中でもひときわ目を引くのが、「御殿(うどぅん)」と呼ばれる赤瓦の木造建築です。ここはかつて、中国からの冊封使をもてなす場として使われていました。

御殿は、格式高い造りをしており、15の部屋が連なる構造になっています。最も奥には重要な客を迎える「一番座」があり、その手前に「二番座」「三番座」と続いています。

各部屋からは庭園の美しい景観が楽しめるよう設計されています。現在、御殿の内部は見学が可能です。王族や使者が過ごした空間を間近に感じることができるでしょう。

清らかな泉「育徳泉」

園内には、今もなお湧き水が流れる「育徳泉(いくとくせん)」という泉があります。

この泉には、きれいな淡水にしか生息しないシマチスジノリという珍しい紅藻類があり、国の天然記念物に指定されています。

透明度の高い泉の水面には周囲の緑が映り込み、静けさの中に自然の美しさが感じられる場所です。まるで時が止まったかのような穏やかな空気が流れており、散策の途中で一息つくのに最適なスポットとなっています。

泉の背後には、冊封使がこの泉を称えて残した碑もあり、文化的価値も高い場所です。

石畳のもてなしの道

識名園の正門から御殿まで続く道は、琉球石灰岩で丁寧に敷かれた石畳でできています。

単なる目的地への通路ではなく、訪れた客人に対するおもてなしの演出が凝らされた設計となっています。

この道は、木が生い茂る森の中を通り抜けるように造られており、先が見えにくくなっています。そして、一歩進むごとに視界が開け、最後に池や御殿の景色が目の前に現れるという、感動的な体験ができます。

こうした設計には、王家が接待において視覚的な効果も重視していたことがうかがえます。石畳の風合いと相まって、当時の趣を感じながら歩くことができるのも魅力です。

絶景を堪能できる展望台「観耕台」

池の奥に広がる森を抜けた先にあるのが、「観耕台」と呼ばれる展望台です。この場所からは、那覇市や南風原町など沖縄本島南部の街並みを一望できます。

意外かもしれませんが、ここからは海が見えません。むしろそれが意図的であり、琉球王家はあえて海を見せずに、広がる大地の景色を通じて「琉球は土地が広く豊かである」という印象を冊封使に与えようとしたと伝えられています。

また、「観耕台」という名前は、中国から派遣された冊封使が、手入れの行き届いた田畑を見て王の徳を称えて付けられました。

おすすめフォトスポット

識名園は、歴史と自然が調和した美しい景観が魅力の庭園です。

園内には、写真映えするスポットが数多くあり、ゆったりと散策しながら撮影を楽しむのもおすすめです。

ここでは、特におすすめのフォトスポットを紹介します。

六角堂
池の中島に建つ中国風の東屋「六角堂」は、識名園のシンボルともいえる存在です。アーチ橋とともに映し出される心字池の水面が、まるで一枚の絵画のように美しく、早朝や夕暮れ時には特に幻想的な雰囲気になります。

心字池
「心」の文字をくずした形に設計された池は、どの角度から見ても美しく、周囲の景色や建物を映す鏡のような存在です。水面に映る空や木々が、自然の一部として調和している様子は、撮影ポイントとしても見逃せません。

御殿の廊下と跳ね上げ窓
御殿の廊下から眺める庭園は、まさに王族の目線を体験できる場所です。大きく開かれた跳ね上げ窓から差し込む光や、整えられた庭の景色が、どこか懐かしく、温かみのある一枚を残すことができます。

観耕台からのパノラマビュー
展望台「観耕台」からは、那覇市街や南部の街並みを一望できます。特に晴れた日には遠くまで視界が広がり、琉球の自然の広さや豊かさを実感できます。広角レンズを使った撮影におすすめのスポットです。

識名園の基本情報

世界遺産 識名園
住所沖縄県那覇市真地421−7
電話番号098-855-5936
営業時間【4月1日~9月30日】
9時~18時(入場は17時30分まで)
【10月1日~3月31日】
9時~17時30分(入場は17時まで)
定休日毎週水曜日
(水曜日が祝祭日の場合は営業、翌日休業)
入場料【一般】
大人(16歳以上)400円・小人(中学生以下)200円
【団体(20人以上】
大人320円・小人(中学生以下)160円
アクセス与儀十字路より県道222号線を東へ約2.5km
駐車場無料
Googleマップhttps://maps.app.goo.gl/86QzbgZQujHFfkgi9

世界遺産識名園 まとめ

識名園は、琉球王家の格式と豊かな自然が融合した、沖縄屈指の歴史庭園です。

かつて中国との外交を担った重要な舞台として、また王家の心を映すおもてなしの空間として、現在も多くの人を魅了し続けています。

心字池や六角堂、赤瓦の御殿、そして観耕台からの眺望など、園内には見応えあるスポットが数多く点在しており、それぞれに深い歴史と文化的価値が込められています。

観光名所としての華やかさと、歴史遺産としての重厚さをあわせ持つ識名園は、一度訪れればその奥深さにきっと心惹かれるはずです。

那覇市中心部からアクセスも良好なので、沖縄旅行の際にはぜひ立ち寄って、琉球王国の歴史と自然の美しさをゆっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。

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よーすけ / 沖縄ナビ®編集部
「地元の人にこそ読んでほしい」「観光じゃない沖縄の魅力も届けたい」——そんな想いを胸に、日々、沖縄のあちこちを歩きながら、気になる場所や人、季節の話題を探しています。
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