2026.8.17 沖縄の電気代が高いと言われる理由は?単価と実際の支払額を調べてわかったこと

「沖縄の電気代って高いの?」
沖縄で暮らしている方も、これから移住を考えている方も、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。
沖縄の電気代は高いと耳にしたことがある方は多いと思います。確かに1kWhあたりの単価で見れば全国平均より高いです。しかし、年間の支払総額で見ると必ずしも全国で飛び抜けて高いわけではありません。
この記事では、沖縄の電気代の平均額の目安と、単価が高くなってしまう構造的な理由を、公的データをもとにわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 沖縄の電気代は、1kWhあたりの「料金単価」で見ると全国平均より高い傾向にあります。
- 主な理由は、本土と送電線がつながらない独立した電力系統、火力発電への9割超の依存、原発や大型水力がない構造、電力市場の小ささ、離島の多さという5つです。
- 暖房がほとんど不要な気候のため、冬の電気代は寒冷地に比べて大きく抑えられます。
- 総務省の家計調査では、沖縄の代表として集計される那覇市の電気代は月約11,600円です。
- 料金プランの見直しや節電、太陽光発電などで、高い単価と上手に付き合う工夫ができます。
沖縄の電気代は本当に高い?
結論からお伝えすると、沖縄の電気代は「単価は高いけれど、気候のおかげで総額は突出しにくい」というのが実態に近いです。同じ「高い」でも、単価の話なのか総額の話なのかで、印象は大きく変わります。まずはこの二つを切り分けて見ていきましょう。
料金単価で見ると本土の主要な電力会社より高い
電気代は、ざっくり言えば「使った電力量(kWh) × 単価」で決まります。この1kWhあたりの単価が、沖縄電力は本土の主要な電力会社と比べても高い水準です。
実際に、電気を多く使う家庭ほど影響が大きい第2段階(120〜300kWh)と第3段階(300kWh超)の単価を、他エリアの大手と並べてみましょう。
| 電力会社 | 120~300kWh | 300kWh超 |
|---|---|---|
| 関西電力(従量電灯A) | 25.61円 | 28.59円 |
| 東京電力(従量電灯B) | 36.40円 | 40.49円 |
| 沖縄電力(従量電灯) | 45.74円 | 47.72円 |
※電力量料金の単価(税込)。基本料金・最低料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金は含みません。各社公式の料金表で確認した数値です(2026年7月時点)。
こうして並べると、安い部類の関西電力と比べて沖縄はおよそ1.8倍、本土でも高めの東京電力と比べても、沖縄がさらに上をいくことがわかります。数円の差でも、積み重なると無視できません。
1か月に300kWh使う家庭なら、単価の違いだけで月に数千円、年間では数万円の差になることもあります。「同じ量を使うと、沖縄のほうが高くつきやすい」。これが、県民が感じる高さの正体といえます。
参考:関西電力|電気の基本料金・単価表
参考:東京電力|料金単価表‐電灯
参考:沖縄電力|電気料金単価表
支払総額で見ると必ずしも全国最高ではない
毎月の請求額そのもの(支払総額)で見ると、話は少し変わります。沖縄は必ずしも全国で高いわけではありません。沖縄は温暖で、冬の暖房がほとんど必要ないため、暖房需要が大きい寒冷地に比べると、電気代がかさみにくいのです。
実際、総務省の家計調査で沖縄の代表として集計される那覇市の電気代は、全国の県庁所在市などと比べても、むしろ低いほうに位置しています。つまり沖縄は、「単価は高いのに、使う量が抑えられるぶん総額は突出しにくい」という、少し複雑な立ち位置にあるのです。
沖縄の平均電気代はどのくらい?
沖縄(那覇市)の電気代は、1か月あたりおよそ11,600円で、全国平均をやや下回ります。
世帯が実際に支払っている電気代の平均を知るうえで参考になるのが、総務省統計局の「家計調査」です。これは国が家計の実態を把握するために行う基幹統計で、光熱費のデータも含まれています。
ただし家計調査には都道府県別の数値がなく、各地域の代表として県庁所在市の数値が集計されています。そのため沖縄については、代表として集計される那覇市の数値で見ていきます。
その那覇市の電気代は月あたりおよそ11,600円、全国平均は約12,500円でした(いずれも2023〜2025年平均を月額に換算)。
| 区分 | 1か月あたりの平均電気代の目安 |
|---|---|
| 全国平均 | 約12,500円 |
| 那覇市 | 約11,600円 |
出典:総務省統計局|家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年(令和5年)~2025年(令和7年)平均)
※金額は年額を12か月で割って月額換算しています。那覇市の数値は、家計調査で沖縄の代表として集計されている県庁所在市のデータであり、沖縄県全体の平均ではありません。
意外に思われるかもしれませんが、那覇市の電気代は全国52市の中でむしろ低いほうに位置します。単価は高いのに支払総額が抑えられているのは、暖房がほとんど要らない気候のおかげです。
沖縄の電気代が高い理由
沖縄の電気の単価が高いのは、沖縄という土地ならではの構造的な事情があります。主な要因は、次の5つです。
本土とつながらない独立した電力系統
最大の理由は、沖縄が本土と送電線でつながっていない、独立した電力供給エリアだということです。
本州や九州などは、電力会社どうしが送電網でつながっていて、足りない電力を融通し合えます。ところが沖縄は、海で隔てられているため他地域と電力をやり取りできません。
必要な電力はすべて自前でまかない、万一に備えた予備の設備も自分たちで持つ必要があります。こうした独自の設備投資や維持管理のコストが、電気料金に上乗せされていくのです。
発電の大部分を火力発電に頼っている
沖縄電力の2025年度実績の電源構成では、石炭火力が約6割、LNG火力が約2割を占めます。石油火力なども合わせると、化石燃料による発電がおよそ9割弱にのぼり、発電の多くを火力に頼っているのが沖縄の電力供給の特徴です。
沖縄電力も、地理的・地形的な制約や電力需要の規模から水力や原子力の開発が難しく、エネルギー源を化石燃料に頼らざるを得ないと説明しています。火力の燃料はそのほとんどを輸入に頼っているため、原油やLNGの国際価格が上がったり、円安が進んだりすると、その影響がダイレクトに料金へ跳ね返ってきます。
参考:沖縄電力|当社の電源構成・非化石証書使用状況について (2025年度実績値)
参考:沖縄電力|電気をつくる
電力市場の規模が小さい
沖縄電力は、沖縄県だけを供給エリアとする、比較的小規模な電力会社です。販売する電力量も、全国の電力会社の中では少ない部類です。
一般的に、生産や供給の規模が大きいほど、1単位あたりのコストは下げやすいと言われています。沖縄はこの規模の経済が働きにくく、コストを薄く広く分散させることが難しいため、単価が高止まりしやすい事情があります。
離島が多く維持コストがかかる
沖縄県は、有人の離島を数多くかかえています。それぞれの島にも安定して電気を届けるためには、島ごとに発電設備を置いたり、送電網を整えたりする必要があります。
人口の少ない島で設備を維持するのは、どうしてもコスト効率が悪くなりがちです。こうした離島へ電気を届ける仕組みを支えるコストも、エリア全体の電気料金に関わってきます。
全国共通の高騰要因も上乗せされる
ここまでは沖縄特有の事情でしたが、全国どこでも料金を押し上げている要因も忘れてはいけません。電気料金は、大きく次の4つの要素で構成されています。
| 構成要素 | おもな内容 |
|---|---|
| 基本料金(最低料金) | 契約に応じてかかる基本部分 |
| 電力量料金 | 使った電力量に応じてかかる料金 |
| 燃料費調整額 | 燃料の価格変動を反映して増減する |
| 再エネ賦課金 | 再生可能エネルギー普及のため全国一律で上乗せ |
このうち燃料費調整額は、燃料価格が上がると増える仕組みです。火力への依存度が高い沖縄では、燃料価格の上昇が料金に反映されやすいといえます。また再エネ賦課金は全国一律で、年々見直されながら上乗せされています。
沖縄はこれらの全国共通の要因に、地域特有の事情が重なる形になっているのです。
沖縄の電気代に関するよくある質問
1kWhあたりの電力量料金の単価を見ると、沖縄電力は本土の主要な電力会社と比べても高い水準です。しかし、世帯が実際に支払う金額で見ると、沖縄の代表として集計される那覇市は全国52市の中でむしろ低いほうに位置します。暖房がほとんど要らない気候のため、単価は高くても支払総額は抑えられているのです。
本土と送電線でつながっていない独立した電力系統であること、発電の大部分を火力に頼っていること、電力市場の規模が小さいこと、離島が多く維持コストがかかることなど、沖縄という土地ならではの事情が積み重なっているためです。
はい。沖縄は冷房を使う夏に電気の使用量が増えるため、夏場は電気代が高くなりやすい傾向があります。逆に、暖房をほとんど使わない冬は抑えられます。
まとめ
「沖縄の電気代は高い」とよく言われます。確かに、1kWhあたりの単価で見れば、沖縄電力は本土の主要な電力会社と比べても高い水準です。これは、本土とつながらない独立した電力系統や、離島の多さといった沖縄という土地の条件からくるものです。
しかし、世帯が毎月支払う金額で見ると、暖房がほとんど要らない気候のおかげで、沖縄の代表として集計される那覇市はむしろ全国でも低いほうに位置しています。
「単価は高いけれど、使う量が少ないぶん、支払いはむしろ抑えられている」
これが、イメージだけでは見えてこない沖縄の電気代の実像です。

