
海の上を進む龍の船。街角で大きく揺れる旗頭。王国時代の装いで首里を歩く行列。
那覇では季節ごとに違った表情の祭りに出会えます。
那覇三大祭と呼ばれるのは「那覇ハーリー」「那覇大綱挽まつり」「琉球王朝祭り」の三つです。
名前を聞いたことはあってもどんな違いがあるのか、どこに注目すれば楽しめるのか、迷う人もいるのではないでしょうか。
この記事では三つの祭りの歴史と見どころを紹介します。

那覇三大祭とは?三つの祭りの違いを知ろう
那覇三大祭は那覇市を代表する三つの祭りをまとめた呼び名です。
港、那覇の市街地、首里の町と、それぞれ舞台も季節も異なります。まずは開催時期と主な見どころを比べてみましょう。
| 祭り | 例年の時期・主な会場 | 主な見どころ | 楽しみ方 |
|---|---|---|---|
| 那覇ハーリー | 5月3〜5日 那覇港新港ふ頭 | 爬龍船の競漕、御願・本バーリー | 船の色や漕ぎ、歌にも注目 |
| 那覇大綱挽まつり | 10月 国際通り・国道58号など | 旗頭行列、支度、大綱挽 | 地域の旗頭を見る・綱を挽く |
| 琉球王朝祭り首里 | 11月3日 首里城周辺・龍潭通りなど | 古式行列、祝賀パレード、旗頭 | 王国の装いと地域文化を見る |
開催時期や場所は例年の目安です。
年ごとの行事内容や時間、交通規制は変更されることがあるため訪れる年の公式案内も確認してください。
三つに共通するのは、地域の人たちが大切に育ててきた祭りであること。
海の祈りを受け継いできたハーリー、復活を経て市民の祭りとして広がった大綱挽、地域の教育・文化活動から発展した首里の祭り。それぞれの歩みを少し知ると目の前の光景がもっと身近になります。
那覇ハーリー|海の祈りと、息を合わせる競漕の魅力
例年5月3日から5日、那覇港新港ふ頭で開かれる那覇ハーリー。
龍の姿を模した爬龍船(はりゅうせん)で海を進むゴールデンウィークの風物詩です。船の速さだけでなく、歌や鐘、船上の動きまで見渡すと、この祭りならではの面白さが見えてきます。

1975年に復活、航海の安全や豊漁を願う
ハーリーは中国から琉球へ伝わったとされる船の競漕です。
伝来の経緯には諸説がありますが、海の神に航海の安全や豊漁、地域の安泰を祈る行事として営まれ、琉球王国時代には国を挙げて行われていました。
明治時代の廃藩置県によって王国の行事としてのハーリーは廃止されましたが、泊では船に乗る動きを陸上で表す「地バーリー」などを通じて伝統が受け継がれました。
その後、保存に取り組む人たちが船を再建し、沖縄国際海洋博覧会が開かれた1975年に那覇ハーリーが復活します。
今、港に響く掛け声の背景には、海とともに暮らしてきた人たちの祈りと、祭りをもう一度よみがえらせた人たちの歩みがあります。
「御願バーリー」と「本バーリー」の違いに注目
那覇ハーリーの見どころの一つが、泊・那覇・久米の三地域による御願(ウグヮン)バーリーと本バーリーです。
御願は「祈願」のこと。御願バーリーでは、櫂(かい)を高く上げてゆっくり漕ぎ、地域ごとのハーリー歌とともに平和や安泰を願います。
続く本バーリーでは一転して勝負の競漕へ。水面深く櫂を入れ、船の上の人たちが息を合わせて力強く進みます。穏やかな祈りの時間から力のこもった漕ぎへ。その変化を見比べると同じ船の違う表情を楽しめます。
船は泊が黒、那覇が緑、久米が黄と色分けされているので、初めてでも応援する船を見つけやすいのがうれしいところです。龍の飾りや色、櫂の動き、歌声へと目と耳を向けてみてください。

中学生や一般のチームによる競漕も会場を盛り上げます。
一般体験乗船が設けられる年もありますが競漕や乗船の実施日、参加方法はその年の案内を確認しましょう。ハーリーを沖縄各地の行事と見比べてみたい人は、こちらの記事もどうぞ。
那覇大綱挽まつり|地域の旗頭と、大勢で綱を挽く熱気
例年10月に開かれる那覇大綱挽まつりでは、国際通りを進む旗頭行列と国道58号で行われる那覇大綱挽が大きな見どころです。
「那覇大綱挽」は綱を挽く行事、その前後の催しも含むのが「那覇大綱挽まつり」。旗頭から綱挽へと続く流れを見ておくと一日の楽しみがぐっと広がります。
1971年の復活から、まちを挙げての祭りへ
那覇大綱挽の背景には、かつての那覇のまちで行われていた地域の綱挽があります。
現在の祭りへつながる大きな節目は那覇市制50周年を記念した1971年の復活でした。以来、地域の人たちや保存会などの協力によって受け継がれています。
大綱挽は、二つの大綱を「かぬち棒」という棒でつなぐ準備から始まります。
綱の上では歴史上の人物に扮した「支度(したく)」が東西に分かれて対峙(たいじ)。綱を挽く前から見逃したくない場面が続きます。

華を添える旗頭
旗頭(はたがしら)は、地域の象徴を掲げた大きな旗です。
那覇大綱挽には東西7旗ずつ、14旗が集まります。上部の飾りや旗の文字はそれぞれ異なり、並んだ姿を眺めるだけでも地域ごとの個性が伝わってきます。
重い旗頭を一人で支え、掛け声に合わせて上下に動かす演舞には思わず目が奪われます。持ち手が交代する一瞬の受け渡しや旗が傾いたときに周囲がすばやく支える動き。旗頭でしか味わえない迫力と緊張感に注目です。

大綱挽の一体感
綱挽が始まると、地元の人も県外・海外から来た人も同じ側の仲間になって力を込めます。
取材で参加した2026年の大綱挽は大雨でした。
大雨の中、隣の人と笑い合い、みんなで綱を挽き、合間に少し日が差しただけで一緒に喜ぶ。こんなに周囲の見知らぬ人と一丸となってはしゃぎ、青春したのは大人になってからはじめてだったかもしれません。ものすごく楽しかったです。
ただ、人の密度がすごいので綱の周囲では足元や体への圧迫に注意が必要です。また、小さな子ども連れの場合や体調に自信がない場合は無理に綱挽の輪へ入らず、スタッフの案内に従って、安心して見られる場所を選びましょう。
開催日や交通規制、来場時の注意点は、別記事で詳しく紹介しています。
琉球王朝祭り首里|王都の歴史と、今の地域文化に触れる
例年11月3日の文化の日に開かれる琉球王朝祭りは、首里のまちを舞台にした祭りです。
王国時代の儀式を再現する古式行列に加え、地域の祝賀パレードや旗頭などにも出会えます。王国の歴史と今を生きる人たちの地域文化を一緒に感じられるのが魅力です。

祭りの出発点は、1960年の「教育まつり」
王国時代を思わせる名前ですが、現在の祭りの出発点は1960年に地域の有志が始めた「教育まつり」です。
子どもたちの学びや若い世代を励ます活動として生まれ、1968年には「首里文化祭」へと名称が変わりました。
1978年には古式行列が復活し、王国の歴史を伝える催しが祭りに加わります。2007年からは首里振興会が運営を引き継ぎました。華やかな王朝行列の背景に子どもたちを応援し、まちの文化を育ててきた人たちの歩みがあることも知っておきたいところです。
古式行列は国王が三つの寺を参詣した儀式を再現
古式行列のモデルは琉球国王が正月3日に国の安泰や農作物の豊作を願い、三つの寺を訪れた「国王御三ヶ寺参詣行列」です。
国王・王妃や王府の役人、最高位の神女である聞得大君(きこえおおきみ)などに扮した人たちが当時の役割に応じた装いで行列をつくります。
注目したいのは一人ひとりの衣装や頭にかぶるもの、行列での位置。
国王や王妃が乗る御轎(ウチュウ)と呼ばれる駕籠(かご)や、楽士たちの姿も王国の儀式を想像する手がかりになります。国王役と王妃役は毎年公募されており地域の人たちが歴史の場面を演出しているのも見どころです。
なお、国際通りで行われる「琉球王朝絵巻行列」と、首里の「古式行列」は別の行列です。
関連する催しが近い時期に開かれるため見たい行列の名称・開催日・会場を確かめておきましょう。
祝賀パレードや旗頭にも首里のまちの顔がある
琉球王朝祭り首里で楽しみたいのは古式行列だけではありません。各町の人たちによる祝賀パレードや旗頭、獅子舞など地域が受け継ぐ文化にも注目してみてください。
那覇大綱挽で旗頭に興味を持った人は首里の旗頭の飾りや演舞を見比べてみると楽しみが広がりそうです。
旗頭や獅子舞の演舞会場、実施時間は年によって変わることがあるため、古い開催案内だけで判断せず首里振興会の最新情報を確認しましょう。

旗頭についても知りたい方はこちらの記事をお読みください。
三つの祭りを通して、那覇の地域文化に出会う
船を漕ぐ、大綱を挽く、旗頭を掲げる。
それぞれの祭りにはさまざまな役割を担う人たちがいます。三つの祭りを見て歩くと華やかな場面の向こうに、地域の人たちのつながりが見えてきます。

祭りの最中、地域の道を進むとお祭りを楽しみにしていた地元のひとたちの明るい顔がありました。演舞の迫力だけではなく各団体の仲間同士の明るいやりとりや、沿道から向けられるまなざしも各お祭りを楽しむうえでのポイントです。
もう少し近くでお祭りに関わってみたい人には、那覇市観光協会の参加プログラムもぜひチェックしてみてください。実施や募集の条件は開催回ごとに確認が必要ですが2026年の那覇祭りでは旗頭体験プログラムを実行しています。
まずは現地へ足を運んで実際にそれぞれのお祭りを体験してみることをオススメします。そこで好きになった地域や団体の発信を追ってみるのも祭りを応援する一つの方法です。
海の祈り、綱を挽く熱気、首里の歴史。気になる祭りを入口に、まちの人たちが大切にしている文化に触れてみませんか。
2026.10.29

